フルード数

フルード数
Froude number
量記号 Fr
次元 1
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フルード数(フルードすう、: Froude number)とは、流体慣性力重力の比を表す無次元量。主に造波抵抗の分析のために用いられる。その名はウィリアム・フルードにちなむ。

定数ではなく、速度重力加速度、船の代表寸法から計算される。フルード数に対して造波抵抗係数は一義的に決まる。

定義

フルード数Fr

F r = U L g {\displaystyle Fr={\frac {U}{\sqrt {Lg}}}}

で定義される。ここで

  • U : 特性速度 [m/s]
  • L : 特性長さ。船の場合は水線長[1] [m]
  • g : 重力加速度の大きさ [m/s2]

である。

ナビエ-ストークス方程式からの導出

外力として重力がかかる非圧縮性粘性流れのナビエ-ストークス方程式は次式で与えられる。

v t + ( v ) v = 1 ρ p + ν 2 v + g e g {\displaystyle {\frac {\partial {\boldsymbol {v}}}{\partial t}}+({\boldsymbol {v}}\cdot \nabla ){\boldsymbol {v}}=-{\frac {1}{\rho }}\nabla p+\nu \nabla ^{2}{\boldsymbol {v}}+g{\boldsymbol {e}}_{g}}

ここでeg は重力方向(鉛直下向き)を向く単位ベクトルとする。

この式を無次元化すると[注 1]

v t + ( v ) v = p + 1 R e 2 v + 1 F r 2 e g {\displaystyle {\frac {\partial {\boldsymbol {v}}}{\partial t}}+({\boldsymbol {v}}\cdot \nabla ){\boldsymbol {v}}=-\nabla p+{\frac {1}{Re}}\nabla ^{2}{\boldsymbol {v}}+{\frac {1}{Fr^{2}}}{\boldsymbol {e}}_{g}}

となり、この流れはレイノルズ数Re とフルード数Fr のみによって特徴付けられることが分かる。

造波抵抗を扱う場合Re は十分大きく、流れの様子がRe にほとんど依存しないため、流れはフルード数Fr のみによって決まることになる。

脚注

[脚注の使い方]
  1. ^ 無次元化された各変数を、もとの有次元変数と同じ記号を用いて表しているので注意。無次元化の過程についてはレイノルズ数#ナビエ-ストークス方程式を参照のこと。

参考文献

  1. ^ ハイテク兵器の物理学 (財)防衛技術協会編 2006年3月発行 ISBN 978-4-526-25644-8

関連項目

アーセル数 - 圧力係数 - アトウッド数 - アルキメデス数 - イリバレン数 - ウェーバー数 - ウェーバーの火炎速度数 - ウォーリスパラメータ - ウオマスリー数 - エクマン数 - エッカート数 - エトベス数 - エリクセン数 - オイラー数 - オーネゾルゲ数 - 拡散数 - ガリレイ数 - カルロビッツ数 - 管摩擦係数 - キャビテーション数 - キャピラリ数 - クーラン数 - クーリガン・カーペンター数 - クタテラッゼ数 - クヌーセン数 - グラスホフ数 - グレーツ数 - 形状係数 - ゲルトラー数 - コルバーンのJ因子 - シャーウッド数 - シュミット数 - スタントン数 - スチュアート数 - ストークス数 - ストローハル数 - ゼルドビッチ数 - ダンケラー数 - チャンドラセカール数 - ディーン数 - テイラー数 - デボラ数 - ヌセルト数 - ハーゲン数 - ハルトマン数 - ビオ数 - ビンガム数 - フーリエ数 - ブラウネル・カッツ数 - プラントル数 - ブリンクマン数 - フルード数 - ブレーク数 - ペクレ数 - ベジャン数 - マークシュタイン数 - マッハ数 - マランゴニ数 - モートン数 - ラプラス数 - ランキスト数 - リチャードソン数 - ルイス数 - レイノルズ数 - レイリー数 - ロスビー数 - ロックハート・マルティネリパラメータ - ロッシュコ数 - ワイゼンベルグ数

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