震天 (エンジン)

震天は、1930年代に三菱航空機が開発・製造した帝国海軍向け航空機空冷星型エンジン。海軍略符号はMK1A、三菱での社内呼称はA6及び震天改。空技廠九九式飛行艇の搭載発動機に採用された。

三菱には陸軍向けの社内呼称A7及び震天という仕様の似た別のエンジンが存在し、こちらは陸軍にハ6の呼称を与えられていた。海軍名称はない。三菱キ21重爆撃機の搭載発動機として選ばれたが制式にあたっては使用されなかった。

本稿では双方について記述する。

概要

震天(A6)

1933年(昭和8年)1月に海軍の主導により開発が開始され、最大出力920馬力を目指した。1934年(昭和9年)8月に1号機完成。 同年に開発が始まった九試中型飛行艇の搭載発動機として震天二一型が採用されたが、1939年(昭和14年)には製造が打ち切られた。

ハ6(A7)

1933年(昭和8年)2月に陸軍の主導で開発が始まり、最大出力800馬力を目指して1934年(昭和9年)5月に1号機が完成した。 1936年(昭和11年)のキ21重爆撃機の搭載発動機として選ばれ、中島のキ19及び搭載発動機たるハ5との競争の末、機体はキ21を、発動機はハ5を採用すると決着しハ6が日の目を見ることはなかった。

生産数

三菱社内にも本発動機に関する資料は少なく正確な生産数は不明であるが、震天、ハ6の各型を合わせて119基と見積もられている。

主要諸元

震天21型(A6-FS2)

  • 形式:空冷星型14気筒
  • 気筒径×行程:140mm×170mm
  • 排気量:36.7L
  • 全長:1,718mm
  • 全幅:1,309mm
  • 乾燥重量:602kg
  • 離昇馬力
    • 1,200HP / 2,360RPM
  • 公称馬力
    • 950HP / 2,250RPM(地上)
    • 1,200HP / 2,250RPM(高度850m)
    • 1,020HP / 2,250RPM(高度1,950m)

参考文献

  • 松岡久光、中西正義 「三菱 航空エンジン史 - 大正六年から終戦まで - 」 グランプリ出版、2017年8月、p.43-45。
ライセンス生産
1945年以前
(海軍名称/陸軍名称/統合名称)
レシプロ
空冷
4気筒
5気筒
7気筒
  • 神風/ハ12/ハ21
  • ジャコブス L-4MA-7(英語版)
8気筒

アルグス As 10C

9気筒
14気筒
  • 瑞星/ハ26・ハ102/ハ31
  • 火星/ハ101・ハ111/ハ32
  • 金星/ハ112/ハ33
  • -/ハ5・ハ41・ハ109/ハ34
  • 栄/ハ25・ハ105・ハ115/ハ35
  • 震天/ハ6/-
  • 護/ハ103/-
18気筒
  • -/ハ104・ハ114・ハ214/ハ42
  • -/ハ211/ハ43
  • -/ハ219/ハ44
  • 誉/ハ45・ハ145/ハ45
  • -/ハ217特/ハ46
  • -/ハ217/ハ47
22気筒
  • -/ハ50/ハ50
  • -/ハ51/ハ51
36気筒
  • -/ハ108/ハ53
  • -/ハ505/ハ54
液冷
  • ヒ式/-/-(イスパノ・スイザ 8(英語版)
  • ベ式/-/-(ベンツ Bz.III(英語版)
  • ローレン/-/-(ロレーヌ 12D(英語版)12Eb
  • 91式/-/-
  • 90式・94式/-/-
  • -/ハ2/-
  • -/ベ式/-(BMW VI・-/ハ9/-
  • アツタ/-/ハ60
  • -/ハ40・ハ140・ハ240・ハ201/ハ60
  • -/ハ300/ハ80
  • -/ハ203/-
ジェット
モータージェット
  • ツ11
  • ネ1
  • ネ2
ラムジェット
  • ネ0
ターボジェット
  • ネ3
  • ネ4
  • ネ10・ネ10改
  • ネ12・ネ12改
  • ネ15
  • ネ20・ネ20改
  • ネ101
  • ネ201
  • ネ130
  • ネ230
  • ネ330
ロケット
1946年以降
純国産
レシプロ
空冷6気筒
ジェット
ターボジェット
  • J3
  • JR
  • TJM3
  • KJ14
  • KJ100
ターボシャフト
  • TS1
  • MG5-110
ターボファン
  • F3
  • FJR710
  • XF5
  • F7
  • XF9
  • KJ300
国際共同
ジェット
ターボファン
  • RJ500
  • V2500
  • HF120
ラムジェット
関連項目
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