BSゼルダの伝説
『BSゼルダの伝説』(ビーエスゼルダのでんせつ)は、任天堂のゼルダの伝説シリーズのサテラビューを利用した放送ゲーム。『BSゼルダの伝説』、『BSゼルダの伝説 古代の石盤』の2作品があり、それぞれこの項目で解説する。
概要
『BSゼルダの伝説』は1995年より、サテラビュー内で放送された「サウンドリンクゲーム(1995年度は「音声連動ゲーム」と呼ばれた)」作品群の1ジャンルである。
音声連動ゲームとは、決められた日時にラジオとゲームデータの放送を同時に行い、その放送時間内のみプレイすることが可能という時間制限つきのゲームである。『BSゼルダ』ではラジオドラマの進行状況やキャラクターのセリフによって、ゲーム上のマップにアイテムが現れたり、主人公が一定時間無敵になるなど、限られた放送時間内に多くのイベントが組み込まれ、ゲームの進行を盛り上げた。
最終話放送後は、それまでのプレイ内容を総合して、「実績一覧」とそれを示したパスワードの表示が行われ、応募形式で結果をハガキやファックスでセント・ギガに投稿すると表彰されたり、抽選で8Mメモリーパックが当たるキャンペーンも行われた。
その他、特筆すべき作品の特徴として、いずれの作品も主人公はリンクではなく「危機に瀕したハイラルに招かれたプレイヤー自身」となっており、実際のゲーム画面ではサテラビューの受信用カセット「BS-X」にあらかじめ登録していた性別によって、「野球帽をかぶった少年」もしくは「ポニーテールの髪型をした赤毛の少女」の姿で表示された。
詳細については下記の項目を参照。
BSゼルダの伝説
『BSゼルダの伝説』は、サテラビューによる夏休み企画の一環として、また音声連動ゲーム(後に呼称がサウンドリンクゲームに変更された)の第1作として、1995年8月の毎週日曜午後6時に1話ずつ放送された。
ゲームとしては、音声連動ゲームの特徴に合わせた若干の変更が細部にあるものの、シリーズ1作目であるディスクシステム版『ゼルダの伝説』をスーパーファミコン向け、かつ限られた放送時間に則したリメイクをした内容[1]になっている。
音声放送とデータ放送を融合させ、複数のユーザーを同時に参加させるゲーム大会というこの新しい試みは、サテラビューユーザーの好評を大いに得た。その評判に応え1995年 - 1996年の年末年始にかけては、ラジオドラマ部はそのままにマップを変更した、『裏BSゼルダ』ともいうべき『BSゼルダの伝説 MAP2』が放送された。
ラジオドラマの脚本・構成は『ふぁみこんむかし話 新・鬼ヶ島』のシナリオライターである菱田達也が担当している。
ドラマキャスト
ドラマパートは東京俳優生活協同組合が全面的に協力している。
- ほこらの老人(声優:加藤精三)
- ゲーム開始時に剣を授けてくれる。その他、放送中は「魔法」という形でプレイヤーを有利にする現象を起こしてくれる。
- ナレーション(声優:小林清志)
- ゲーム進行の捕捉やプレイヤーが見逃しがちなヒントや老人の手助けをより一般的な表現で説明してくれる。
- ゼルダ姫(声優:藤沢直美)
- 放送開始直前のプロローグ部分にて回想の形で登場[2]。BGMのSEとしての悲鳴もある。
- 魔王ガノン(声優:不明[3])
- 放送第4話になると本格的に妨害してくる[4]。劇中では一貫して「魔王」と呼ばれる。
BSゼルダの伝説 古代の石盤
続く1997年4月には『神々のトライフォース』をベースにした新作『BSゼルダの伝説 古代(いにしえ)の石盤』が放送された。再放送はそれぞれ2、3回ほど行われたのみである。
プレイヤーは高品位なPCM音声放送によるBGM、ナレーターのヒント、長老やゼルダ姫などハイラルの人々によって繰り広げられるラジオドラマに耳を傾けながら、合計約4時間の「ゼルダタイム」と呼ばれる制限時間内でハイラルを救わなければならない。しかし実際にはゲームプログラムの受信や成績表示を行うため、4話合計で3時間半程度である。また、放送時間内や2話以降からの途中参加もできたことから、制限時間はそれ以下になる可能性もあった。
プレイ環境自体にも前作(BSゼルダの伝説)からの改良が加えられており、高額のルピーを必要とするが特殊な薬や一時的な剣の強化などの救済措置の充実。それ等に必要なルピーを大量に獲得できる、もぐら人間の掘り当てた「宝の穴」など放送を1回見逃した程度ならば挽回できる難易度調整となっている。
サテラビューの放送サービスは2000年に終了し、これらの『BSゼルダの伝説』をプレイすることは不可能となっている。
ドラマキャスト
ドラマパートは青二プロダクションが全面的に協力している。
- ゼルダ(声優:國府田マリ子)
- ハイラル王国の姫で七賢者の血を引く一人。リンクが旅に出た6年後、再びハイラルに迫る不吉な気配を感じ取り行動する。その最中にプレイヤーを発見する。
- 放送回によってはプレイヤーと共にフィールドやダンジョン内を行動する展開もある。
- アジナ老人(声優:矢田耕司)
- カカリコ村長老サハスラーラの弟、前作『神々のトライフォース』で隠れ住んでいた「あやしの砂漠」のほら穴を出て、放送話別で特定の建物内[5]で待機している緑衣の賢者。
- ゲーム部分では放送第2話以降、以前の放送でプレイヤーが入手したアイテム・装備品の受け渡しを行う役割も担っている。
- 占い屋(声優:高戸靖広)
- アジナ老人の呼びかけに応じてハイラル各地で発生している現象をプレイヤーに対してその都度教えてくれる。
- ゲーム部分では第1話の放送ではアジナ老人と共に前作でサハスラーラが隠れ住んでいた東のほこらに待機している。また各地に点在する占い屋の建物内でルピーを支払う事でライフの全回復と進むべき道をより具体的に教えてくれる。
- 兵士(声優:遠藤守哉)
- ハイラル城の兵士。プレイヤーがハイラルに召喚された時期と同時刻、突如として各地に発生した魔物の大群に襲われ兵団が全滅してしまう憂き目に遭いつつもゼルダ姫に状況を報告し、姫の行動を支える。
- 放送各話では各地に配属された別人として扱われているが担当声優は共通である。
- ナレーション(声優:磯部弘)
- ゲーム進行の捕捉やプレイヤーが見逃しがちなヒントや老人や占い師の手助けをより一般的な表現で説明してくれる。
- 魔王ガノン
- 6年前にリンクに倒された魔王。肉体が滅びてなおその怨念(番組中では「気」と表現されている)が、拠点であった「ガノンの塔」に闇の世界の残滓と共に残り続けており、自らの復活と世界を移動する力を得るためにプレイヤーの体を狙う。
ドラマ内使用楽曲
スーパーファミコンPCM音源の進化版として生音による楽曲をリアルタイムゲーム内で使用する試みが行われたが、実際には使用されている音の9割は打ち込みによるものだった。
- 作曲・制作(阿部健太郎)
脚注
- ^ 具体的にはディスクシステム版ではフィールドマップが16×8区画(128区画)だったものが放送内では最適化され8×8区画(64区画)になっている点など、また迷宮では一方通行のトラップなど時間を浪費させるだけの仕掛けも大幅に削除されている。
- ^ ハイラル城の地下牢から助けを求める内容。プロローグ部分は内容が『神々のトライフォース』のものになっており、ゲーム本編部分のドラマパートとストーリー内容に食い違いがある。
- ^ 放送内では声や嘶きは音声加工されているため判別不可。
- ^ 放送後半になるとフィールド上のオクタロックをタートナックに替える。プレイヤーの入手していない上位の剣や指輪(ブルーリング・レッドリング)を奪い去り入手不可にしてしまうなど。
- ^ 待機場所の内訳は、第1話:東の神殿のほこら、第2話:カカリコ村のサハスラーラ邸、第3話:ハイラル城、第4話:教会となっている。
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